マイケル・L・ブッシュ著『貧乏貴族と金持貴族』のメモ
ノブレス・ド・ラースは三代を経て貴族の特権を持っている家系の者、アノブリはまだ三代経っていない家系の者。ジャンティヨム(貴族)の称号を用いることができたのはノブレス・ド・ラースのみ。彼らは全国三部会や地方議会での代表権、王と拝謁する権利を持ち、官職を独占した。
官職や領主権を持つ者は、それを持たない者より上。貴族としての理想的姿を維持できる者は、貧しくて維持できない者より上。本家は分家より上。生まれつきの貴族は、叙任された平民よりも上。宮廷で王族に直接仕える貴族は、田舎住まいの貴族より上。軍務に就く貴族のほうが、文官の職に就く貴族よりも“真の貴族らしさ”があるという意識が根本にあったことは特に忘れてはならない。(P57)
帯剣貴族の地位の起源は「武力」であり、彼らは法服貴族よりも自分たちのほうが優れていると考えていた。しかし現に、世襲の貴族位を持たない法服貴族は多かったので言い分としては正しい。官職の購入は1750年まで、非軍人に限られていた。国王親任官はたいてい法服貴族から任命。(P68)
中世後期、平民に騎士資格を与える権限(貴族叙任状)を持っていた者はノルマンディー公、ベリー公、アランソン公、ブルゴーニュ公、ブルターニュ公といった王侯クラスの臣民。それ以前には「剣で肩を叩く」方法での授爵も行われていたが、ほとんど行われなくなった。(P87)